保険の豆知識

飲酒運転事故における自動車保険の範囲について
保険の種類 保険の範囲 補償
自賠責保険 法律によって全ての自動車とバイクに加入が義務付けられている強制保険です。自動車事故によって他人を死亡させたり、ケガを負わせたりした場合に一定額を補償します。









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対人賠償保険 他人を死傷させ、法律上の損害賠償責任を負った場合に自賠責保険で支払われる金額を超える損害賠償額に対して保険金が支払われます。
対物賠償保険 他人の自動車等の財物に与えた損害に対して、法律上の損害賠償責任を負った場合に保険金が支払われます。
自損事故保険 自賠責保険では補償されない運転者自身の自損事故(運転ミスによる電柱への衝突など)で、運転者等が死傷した場合に保険金が支払われます。
無保険車傷害保険 対人賠償保険を契約していないなど、賠償資力が十分でない他の自動車に衝突されて、運転者や搭乗者が死亡または後遺障害を被った場合に保険金が支払われます。 注2
搭乗者傷害保険 運転者や同乗者など、自動車に搭乗中の人が事故によって死傷した場合に保険金が支払われます。 注2
車両保険 衝突・接触・転覆・モノの落下や、火災・爆発・盗難・台風・洪水など、偶然の事故によって自動車が損害を受けた場合に保険金が支払われます。
(注1)詳細は損害保険会社にお問い合わせください。
(注2)運転手本人は補償無・同乗者は補償されます。
運転者自身のケガや、自分のお車の損害は支払われません。

飲酒運転による事故で保険金は支払われるのか?

飲酒をすると運動機能や集中力が低下し、その状態のまま運転をすることは周辺の歩行者だけではなく、同乗者や運転者本人にも危害を及ぼす大変危険な行為です。
もちろん、飲酒運転は危険なだけではなく道義的に決して許されるものではありません。そのため、飲酒運転での自動車事故の場合、飲酒運転をした本人の損害に対しては保険金は支払われません。

飲酒運転に巻き込まれた場合

不幸にも飲酒運転での事故に巻込まれ被害者となってしまった場合、保険金は支払ってもらえるのでしょうか。事例を挙げて解説していきます。

【事例】歩行中に、飲酒運転による事故に巻込まれてしまいました。

歩行中に飲酒運転による事故に巻込まれ、大ケガを負わされてしまいました。飲酒運転の場合でも、加害者が加入している自動車保険で、被害者に対するケガの治療費を支払ってもらえるのでしょうか?

【解説】被害者に対しては、保険金は支払われます。

飲酒運転による事故でも、被害者に対して保険金は支払われます。
クルマの運転によって他人にケガを負わせてしまったときには、法律に基づく強制保険である「自賠責保険」と、任意保険の「対人賠償保険」の2つが適用対象となります。今回事例に挙げた飲酒運転による事故の場合も、両方の保険が適用対象となります。

“対人賠償保険”は飲酒運転でも保険金は支払われます

飲酒運転は重大な法令違反です。しかしながら、運転者が法を犯したかどうかにかかわらず、事故に巻込まれた方は被害者であることに変わりありません。そのため、「被害者救済」の観点から、自賠責保険・対人賠償保険のいずれも、免責(=保険金支払の対象外)にはならず、保険金が支払われます。同様に、無免許運転や、麻薬服用などの法を犯した運転者による事故の被害者になってしまった場合も、「被害者救済」の観点から保険金は支払われます。

飲酒運転の被害者でも、任意保険から保険金が支払われない場合があります。

前段で、飲酒運転による事故の場合でも「被害者救済」の観点から、対人賠償保険から保険金が支払われると説明しました。しかしながら、任意保険の場合、もともと補償の対象外となっている運転者が起こした事故では、保険金は支払われません。
たとえば、運転者本人・配偶者限定特約がセットされた自動車保険の契約車両で、記名被保険者の友人が運転中に事故を起こした場合は、飲酒運転かどうかにかかわらず、保険金は支払われません。なお、その場合でも自賠責保険からは保険金が支払われます。

支払われる保険金の額

今回挙げた事例の場合、被害者の“ケガ”に対して、加害者の加入する自動車保険からどのくらいの額の保険金が支払われるのでしょうか?「自賠責保険」と「任意保険」それぞれについて確認してみましょう。

自賠責保険からの支払額

休業補償費(1日につき原則5,700円)、慰謝料(1日につき4,200円)、およびケガの治療費を合わせて120万円が被害者への支払限度額です。損害額が自賠責保険の支払限度額120万円を超えた場合に、任意保険(「対人賠償保険」)から保険金が支払われることになります。

任意保険からの支払額

自賠責保険により支払われる保険金を超える額に対しては加害者が加入する任意保険の「対人賠償保険」から保険金が支払われます。対人賠償保険は、現在ではほとんどの契約が「無制限」となっているため、多くの場合、算定された損害額から被害者の過失分を引いた額が支払われることになるでしょう。また、ご自身で加入されている自動車保険の人身傷害保険や無保険車傷害等から保険金がお支払いできる場合もあります。

飲酒運転をした加害者の負担や罰則

ここまで、飲酒運転による事故の被害者の立場から、保険金が支払われるかどうかを解説してきましたが、ここで、飲酒運転により事故を起こした加害者について、説明しておきます。

加害者の経済的負担

条件さえ満たしていれば被害者には保険金が支払われるため、飲酒運転による事故の加害者の経済的負担は少ないかというと、そうではありません。被害者の損害については救済されますが、加害者自身が被ったケガなどの損害については、自動車保険はもとより、医療保険などからも保険金が支払われません。
また、飲酒運転などの重大な法令違反があった場合は、その時加入している保険会社での契約継続ができない可能性もあります。

飲酒運転の罰則

飲酒運転には行政処分や道路交通法の罰則があり、交通事故を起こすと処分や罰則がさらに重くなります。

【行政処分】
酒酔い運転は免許取消、欠格期間は3年で、さらに死亡事故を起こした場合は、欠格期間は7年です。

【道路交通法】
酒酔い運転は5年以下の懲役または100万円以下の罰金で、他人を死傷させてしまうと刑法に定められている危険運転致死傷罪が適用(飲酒運転等でケガを負わせた:20年以下の懲役)されます。

 

参考/ソニー損保Webサイト『保険なるほど知恵袋』より


人身傷害保険と搭乗者傷害保険、どちらを優先?

どちらか一方を選ぶとなるとやはり使いやすいのは人身傷害補償保険です。第三者との面倒な事故があった場合、相手からの支払いに振り回されることなく自分の保険で賄えますのでストレスが少ない。

ただ損害保険会社の契約の引受状況を見ていると、搭乗者傷害保険に制限が入っているケースが多いように感じます。その意味ではこちらの支払いが多いと考えられるので補償を削ることだけを優先するのも考えものです。